大統領と皇帝 president and emperor 2003 4 29
世界は、民主化が重要であるとして、民主化を進めているが、
この民主化も、十分に民主主義の制度を確立しないと、民主化の意味がなくなる。
よく現代史を見てほしい。特に第一次世界大戦後の歴史を見てほしい。
選挙で選ばれた後に、独裁者となった政治指導者がいなかったですか。
たくさんいるでしょう。
このように国民の側に民主主義教育が浸透していないと、
国民に民主主義精神がないと、さらに国民に政策を判断する知性がないと、
単に民主化しただけでは、民主化をうまく利用した独裁者が出現するだけなのです。
こういう独裁者は、権力を握ると、議会とマスコミを押さえるのは、歴史が証明している。
ところで、現在はこういう独裁者はいるでしょうか。
民主主義をうまく利用した独裁者とは、
議会の言うことを聞かない政治指導者で、マスコミを情報統制する政治指導者のことを言う。
そうすると、イラクは、まさしくこのとおりで、大統領というより、皇帝と言った方が正しい。
イラクと戦ったアメリカはどうか。これも、あやしい。
イラク戦争でマスコミを情報統制しなかったか。
これで、議会の言うことを聞かなくなったら、これもまた、独裁者となる。
こういう観点で、政治指導者を見ると、アメリカとイラクは大差ない。
似たもの同士がケンカをしたといってよい。
正しい政治指導者とは、議会の言うことを聞き、言論の自由を守る指導者である。
こういう観点で、世界の政治指導者を採点する必要がある。
これは、民主主義をうまく利用した独裁者が出現するのを防ぐためである。
不合格となる政治家が多い。
しかし、これほど政治指導者が皇帝を望むならば、イギリスの政治制度を導入すればよい。
国王は君臨すれども統治せず。首相が政府を運営していく制度である。
さて、これでは皇帝が悪いということになってしまうが、いい皇帝だっていた。
ちょうど日本では、ロマノフ王朝展をやっているので、ロマノフの皇帝を例にあげる。
ピョートル1世は、西欧の科学技術を積極的に導入し、国内改革を推進し、
産業の振興、税制の改革、軍備の強化を図った。
こうして、近代国家へ向けて国内改革をし、西欧社会へ追いつこうと改革を推進した。
「改革皇帝」とも呼ばれた。また、美しい皇帝もいた。アレクサンドル1世は、美しい白人だった。
この皇帝を白人とすると、今のアメリカ人やイギリス人は有色人種に見える。
アレクサンドル2世は、地方自治の改革を行い、ロシア資本主義の出発点となった。
ニコライ2世は、大の日本びいきであった。
さて、このキリスト教文化を誇ったロマノフ王朝も、
人民のための政府を掲げた革命勢力に倒された。そして唯物論国家ができた。
その後、この国家はどうなったか。
独裁体制を維持するために、警察を強化し、秘密警察国家となった。
70年以上に渡った文明実験は失敗に終わった。